院長が天使みたいにみえた日
院長が天使みたいに見えた日
その日、仕事終わりに同僚が施術を受けるというので、帰り損ねた私は施術を受けている同僚と話ながら一緒に施術室にいた。受付業務は基本一人勤務なので、同僚とゆっくり話す機会もすくないし、こうやって話せるのも貴重な時間。ベッドに横になって施術を受けている同僚とのおしゃべりが止まらない。彼女も施術を受けているということを忘れているのではないか?というくらいおしゃべりに花が咲いてしまった。いや、たぶん同僚は院長の存在忘れていただろうな。(笑)そして、そんなのおかまいなく黙々と施術を続ける院長。もちろん私たちの話は全部聞こえているだろうけど、よくこの状況で文句も言わずに施術できるな、ちょっと静かにして!とか思わないのかな?おしゃべりをやめないくせに気になっている私。院長はそれよりも施術に集中している様子。
ふと、天使ってこんな風に私たちの周りで私たちを守るために働いてくれているのかも?という思いがよぎる。それを私たちは気づいていないだけなのではないか。
私は特殊な能力もないので天使が見えたり、見えない存在が特別に見えたりということはないのだけれど、院長の施術する姿をみたらその姿を天使にだぶらせてしまった。
断っておくけれど院長の見た目はとっても普通におっちゃん。ヨーロッパの絵画などでみかけるような愛くるしい姿でも軽やかな羽も生えてはいない。どこまでもどこまでも気のいい関西のおっちゃんなのだけれど。
自然治癒力、ホメオスタシスというものが人にも動物にもすべての生命に備わっているそう。私たちの命に備えられている心や体の状態を常に一定に保ち、この命を全うするために微細に調整を行ってくれているもの。風邪をひけばやがては治るように。ケガをすれば傷が癒えるように。呼吸、脈、体温、排せつ、筋肉の収縮、姿勢を保つ、などなど生きていくために必要な機能について、生きている限り生きていようとする力、生命を守ろうと働く力。
普段目には見えないけれど確実にしかも四六時中、私たちを守り、癒し、育て、生き延びさせてくれている自然治癒力という働きが私たちをまもってくれているであろう天使の仕事とダブる。(天使の仕事を詳しくしらぬままだけど)
院長がメインでやっている氣功という施術方法。自然治癒力やホメオスタシスの能力を高めてゆく。氣の滞っている箇所がスムーズに流れていくように、氣から体を整えてゆく。そしてその人の元の氣、元氣が健やかに発揮できるように、流れを整えていく。氣自体は目に見えるものではないけれど、その人その人それぞれがもっている自然治癒力。その力がぐんと引き出されるように必要なアプローチをかけていく。院長が本当に天使かどうかはいざ知らずなのだけれど黙々と施術する院長の姿をうっかり天使と重ねてしまった。